「調べられる検査はなんでもしてください。自分は絶対、病気だから」
そう医師に訴えて、やっと見つけてもらった「悪性リンパ腫」でした。ステージは2。割と早く気づいた方だと思います。
それは2013年でした。ランナーとして走っている感覚が明らかにおかしかったのです。本来のパフォーマンスがまったく出せない。軽いジョギングが苦しい。中学1年生でできたような練習ができない……。そんな風邪をひいたときのような状態が2カ月ぐらい続いたので、近所の医院を受診しました。
でも血液検査で異常が見つからず、「メンタルだね」と言われて終わり。そんなわけがないと思ったので、大きな病院を紹介してもらったのですが、そこでも最初は同じ結果でした。血液検査で異常がないので、「プレッシャーからくる胃腸炎的なもの」と言われたのです。
心の中は「何言ってるの? 絶対に違うよ」という気持ちでいっぱいでした。メンタルはそんなに弱い方ではないので到底納得できません。後から知ったことですが、悪性リンパ腫は血液の病気とはいえ、それを疑って検査項目に含めないと引っかからない。だから発見が遅れることが多いのだそうです。
独白 愉快な“病人”たち
糟谷悟さんは悪性リンパ腫を克服「ランナーでなければ気づけなかった」
糟谷悟さん(トヨタ紡織陸上部マネジャー)=悪性リンパ腫