前回に続き、「アパシー」に触れたいと思います。
アパシーは、自分のことにも周囲にも関心を持たなくなり、何もやろうとしなくなる状態。一見、うつ病と非常に似ています。
しかし、病態も治療も対処法も、うつ病とアパシーは異なります。
脳イメージング研究では、うつ病では脳機能が亢進している部位が認められるという報告があります。
脳の側頭葉の内側にある扁桃体では情動刺激への活性が、大脳辺縁系の一部である海馬ではネガティブな情動刺激に対する活性が、同じく大脳辺縁系の一部である前部帯状回ではネガティブな自己関連づけに対する活性が、いずれも亢進されているというのです。
しかしアパシーでは、脳の機能で亢進している部位は認められません。むしろ、前頭葉・大脳基底核・視床サーキットを中心とした部位の機能低下が報告されています。
第一人者が教える 認知症のすべて