感染症別 正しいクスリの使い方

【おたふく風邪】ワクチンの効果は高いが日本では定期接種が中止されている

小児に多くみられるが、中には成人になってから罹患する人も

「おたふく風邪」は、ムンプスウイルスに飛沫感染や接触感染することで引き起こされる病気です。感染力が強い疾患として知られており、「流行性耳下腺炎」とも呼ばれます。耳の下に位置する耳下腺(唾液を作る組織)の腫れが特徴的な症状です。両側が腫れた場合に“おたふく”のように見えることから、おたふく風邪と称されています。発症した場合には両側が腫れるケースが多いですが、片側だけしか腫れない場合もあります。

 おたふく風邪は、保育所や幼稚園などで集団生活を開始したばかりの小児に多く見られ、6歳までの子供が発症例の半数以上を占めると報告されています。一度、感染することで生涯免疫が獲得されますが、中には成人になってから初めて罹患する人もいます。

 ムンプスウイルスに飛沫や接触により感染した後、2~3週間ほどの潜伏期間を経て、耳下腺・顎下腺の腫れや発熱などの症状が現れます。おたふく風邪の大きな特徴でもある顔の腫れは、唾液腺に感染したムンプスウイルスを排除するために炎症が起こることが原因です。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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