2017年、それまで毎日やっていたランニングの最中に乗り物酔いのような状態になって、嘔吐しちゃったんです。たまたまかなと思ったんですけど、ライブをやるたびに体調が悪くて、マネジャーに症状を話したら、「知り合いに同じような人がいた。もしかしたらバセドー病かも?」と言われ、甲状腺の病院に行ったのです。すると、血液検査の結果を待たずに医師から「90%バセドー病ですね」と言われました。
念のため原宿にある甲状腺疾患専門の伊藤病院でセカンドオピニオンを受けましたが、やはり同じ診断だったので、「これは間違いない」と病気を受け入れました。
医師の話によるとバセドー病は80%遺伝で、遺伝じゃない場合は、相当ハードなトレーニングをしたことが原因である場合が多いそうです。家族の周りにこの病気の人はいないので、原因は後者。心当たりは大ありでした。
その2年ぐらい前からランニングを始めたのです。バンドマンも多数参加している特殊なランニングの会があって、そこで毎日10キロ走るようになりました。走るのは嫌いだったんですけど、30歳を前にして自分を変えたくて……。あえて嫌いなことを毎日やるって、大人になるとないじゃないですか。「自分に足りないのはこういうことだな」と思ったんです。
独白 愉快な“病人”たち
心当たりは大ありでした…ギタリストの山下拓実さんバセドー病を語る
山下拓実さん(ギタリスト/36歳)=バセドー病