役に立つオモシロ医学論文

小学校「食育」プログラムは子供たちの健康状態を改善する?

写真はイメージ(C)iStock

 米国では成人のみならず、子どもの肥満も増加しており、人口に占める肥満小児の割合は1978年の5%から、2018年の19.3%へと、40年で約4倍となっています。また、米国では多くの子どもたちが野菜や果物の推奨摂取量を満たしておらず、特に肥満を有する子どもの摂取量は最も少ない水準にあることが報告されていました。

 一方、小学校で栄養に関する教育や園芸体験などを実施すると、野菜や果物の摂取量が増える可能性も報告されており、肥満や生活習慣病の予防に対する学校教育への関心が高まっていました。そんな中、小学校における食事や栄養に関する特別授業の効果を検証した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに2023年1月3日付で掲載されました。

 この研究では、米テキサス州の小学校16校に通う695人(平均9.3歳)が解析対象となりました。被験者の子どもたちは、栄養教育、ガーデニング体験、調理実習などの特別授業を9カ月にわたり実施(計18回)するグループと、特別授業を実施しないグループに、小学校単位でランダムに振り分けられ、血糖値の状態を示すヘモグロビンA1c値(正常値4.6~6.2%)やコレステロール値などの変化が検討されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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