担当医に「あとどのくらい持ちますか?」と聞くと、「1カ月か、2カ月かと思います」との答えが返ってきました。
Kさんは体を動かすのが苦痛になって、ほとんどベッドの上でしか過ごせないようになりました。排尿は少なくなりましたが、腹満感は同じです。喉が渇くことが多く、いつもお茶をそばに置いてもらいました。
「仕方がない」とは思いながら、それでも日によっては気分の良い日もあり、このままだったらもう少し生きていてもいいかな、と思う日もありました。ぼーっとしていることが多くなって、それでも痛みがないのがありがたいと思いました。
連絡した妹が10年ぶりに面会に来てくれました。Kさんは妹にこう漏らしました。
「人はこのようにして死ぬんだが、俺は幸せ者だよ」
がんと向き合い生きていく