感染症別 正しいクスリの使い方

【日本脳炎】症状が現れた時点で脳細胞は破壊されている…予防が重要

蚊を介して感染(C)日刊ゲンダイ

 特異的な治療法はなく、対症療法が中心です。大量ステロイド療法は一時的に症状を改善することはあっても、予後、死亡率、後遺症などを改善することはないと報告されています。

 また、日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスが脳内に達し、脳細胞が破壊されているため、将来的にウイルスに効果的な薬剤が開発されたとしても、一度破壊された脳細胞の修復は困難と考えられています。ですから、日本脳炎は予防がとても重要な疾患なのです。

 日本脳炎は、ワクチン接種によって罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています。また、草むらややぶなど、蚊が多く生息する野外で活動する際には、虫よけスプレーを使用する、長袖長ズボンを着用して皮膚の露出を抑えるなど、予防策を講じることも大切です。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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