花粉症ピークはこれから…かゆくて目を強くこすると失明する危険

こすってもかゆみは増強するだけ
こすってもかゆみは増強するだけ

 花粉症が猛威を振るっている。耳鼻科や眼科は患者でいっぱい。薬局も鼻水やくしゃみ、涙に悩まされる花粉症の患者でいっぱいだ。中にはかゆみに耐えかねて目を強くこする人もいるが、これは将来の失明にもつながる危険な行為だという。眼科専門医で自由が丘清澤眼科の清澤源弘院長に話を聞いた。

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「花粉症によるかゆみで目を強くこする人がいますが、とても危険です。こすってもかゆみは増強しますし、こすることで目の表面の角膜が傷ついたり変形したりするほか、目の奥の網膜にもトラブルが起こって、最悪失明するケースもあります」

 そもそも花粉症とは、花粉が原因で生じるアレルギー症状のこと。くしゃみ、鼻水、鼻づまりと並び、目のかゆみが主な症状となる。

「目をこすることでまず心配になるのが角膜の異変です。角膜とはいわゆる黒目の表面を言い、涙で覆われている透明な膜です。異物から目を守るバリアーのような役割を持っています。花粉が付着した状態で目をこすると、角膜が傷つき、びらんになることがあります。その結果、目に病原体が侵入しやすくなって感染症になりやすくなり、目が痛い、ごろごろするなどの症状が現れます」

 目を何度も強くこする人は「円錐角膜」と呼ばれる目の病気を発症する可能性が高くなるともいわれている。

「この病気は角膜の中央部分が薄くなることで、眼圧に負けた中央部下部が結果として前方に円錐状に突出する病気です。このため、視力が出にくくなります。ハッキリした原因はわかっていませんが、アトピー性皮膚炎やアトピー性結膜炎を併発しているケースが20%以上報告されており、花粉症との関係も疑われています」

 円錐角膜は薄くなった角膜部分が混濁して光がまぶしく見えたり、物が二重に見えたりするが、当初はメガネやコンタクトで視力矯正できるため気づかない人も多いという。

「ただし、円錐角膜が進行すると、角膜内に眼球内を満たしている房水が流れ込んできて水腫が発生したり、薄くなった角膜が破れて角膜移植が必要になったりします」

■点眼薬と内服薬で対策を

 実際、もともとアトピー性皮膚炎などのアレルギーがある人が、花粉症でアトピー性結膜炎を発症すると、強く目をこすり過ぎて白内障が進むこともある。

「ある男性は、ひどい花粉症で、目を強くこすったために白内障を生じました。その治療中にカメラにおけるフィルムのような働きをする網膜に大きな裂孔が両目に見つかりました。その後、網膜剥離が広がり、白内障と網膜剥離の手術を受けることになりました」

 網膜は衝撃に弱く、目をこするといったちょっとした目への衝撃でも剥離を起こすことがあることが知られている。

「とくに強度近視の人や眼科検診で網膜に薄いところがあると眼科専門医から指摘を受けた人、50~60代以上で眼球の硝子体部分がゲル化して前方に引っ張られている状態の人は、要注意です。少しでも見え方に異常が出たら、面倒くさがらずに眼科専門の医療機関を受診することが大切です」

 では、花粉症の人は目の対策をどうすればいいのか? まずは、花粉症対策用の点眼薬と内服薬を使うことだ。

「アレジオンLX点眼液0.1%を使うといいでしょう。2013年から発売されているアレジオン点眼0.05%の2倍の濃度で、コンタクトレンズの人でも使えます。これまでは1日1滴4回ささなければなりませんでしたが、いまは1日1滴2回で大丈夫です。一緒に花粉症の内服薬を使うといいかもしれません。私はアレジオン内服をおすすめしています」

 手元に点眼薬がない場合は、冷やしたタオルでまぶたを覆うとかゆみがとれる場合があるが、まずは眼科で花粉症対策することだ。

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