役に立つオモシロ医学論文

コロナ感染が最も拡大しやすい社会環境は? 東京都の疫学調査を解析する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その結果、2次感染例(クラスター)の発生割合は、医療機関で最も多く36.2%、次いでナイトライフの18.9%でした。一方、最初の感染者が他の人にも感染を拡大させる可能性はナイトライフで最も高く、家庭で最も低いことも示されました。感染拡大のリスクは、ナイトライフで感染した場合と、家庭で感染した場合では、約2倍の差(ナイトライフと比べて家庭で97%減)がありました。

 論文著者らは「ナイトライフで確認された感染例は、家庭や医療機関で確認された感染例と比べて、新型コロナウイルスの感染を拡大させる可能性が高い」としたうえで、「感染拡大の初期においては、ナイトライフ環境を中心とした感染動向の監視を優先させるべき」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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