科学が証明!ストレス解消法

グループで歌う合唱も1人カラオケも幸せホルモンを増加させる

休業を余儀なくされたところも…
休業を余儀なくされたところも…(C)日刊ゲンダイ

 政府は今年5月8日から新型コロナウイルスを、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行すると発表しています。

 元通りというわけにはいかなくても、それでもなんとなくコロナ前の日常を思い出す日々を送っている人は多いのではないでしょうか?

 例えば、スポーツ観戦においてはマスクをしたままという条件こそありますが、歓声を上げても問題ないというケースも増えてきましたし、送別会や歓迎会を行うといったケースも増えてきています。

 半面、コロナ禍によって大きな影響を受けた娯楽もたくさんありました。そのひとつがカラオケです。

 全国カラオケ事業者協会の調査によれば、コロナ禍のただ中であった2020年度、カラオケボックスは908店減少し8436店。前年度と比べると店舗数の減少率は過去最大となる9.7%減を記録したといいます。

 実は、私は大のカラオケ好きで、ラルクアンシエルさんの歌などを熱唱してしまうのですが、コロナ禍では誰かとカラオケに行くことは控えていました。今後は、その鬱憤を晴らすように歌えると思うとワクワクしてしまいます。実際、歌うことは心にも体にも良いと研究で証明されています。

 西ミシガン大学のキーラーは、「グループで歌うことで幸せホルモンがアップし、仲間との親近感が高まる」という研究結果(2015年)を報告しています。大きな声で歌うほど、ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」が減少し、「オキシトシン(通称・幸せホルモン)」が増加するというのです。

 自分が歌うだけでなく、歌声を聴いているだけでもストレスホルモンが下がるという結果や、グループで歌うと痛みを感じにくくなるというデータもあるほどです。

 合唱団に参加している高齢者の方って、元気で明るい方が多い──。そんな印象がありませんか? これは合唱による作用と言えるかもしれません。

 もちろん、「みんなで歌うのは苦手」という方もいるでしょう。1人で歌っても効果はありますからご安心を。王立音楽大学のファンコートらの研究(2015年)では、「(610人の)観客あり」と「観客なし」の状態で被験者に歌ってもらい、それぞれにおいて唾液採取と質問紙によってストレスの数値を測るという実験を行っています。

 その結果、「観客あり」の場合にはストレスホルモンのコルチゾールなどの値や不安感が上昇し、「観客なし」の場合には逆にそれらが下がるということがわかりました。大勢の客の前で歌うことに抵抗があるという人は、逆に1人で思い切り歌うと◎。

 最近は、1人カラオケに行く人も増えていますが、理にかなった非常に効果的なストレス解消法と言えるわけです。“ライブでアライブ”することこそ、よりハッピーな人生を送るために欠かせないアクションなんですね。 

 ストレスがたまったときは、気持ちよく歌ってみる。カラオケに行かずともお風呂場でも効果は同じですから、誰でも簡単にできる幸せホルモンアップ法ですよ。


◆本コラム待望の書籍化!
『不安』があなたを強くする 逆説のストレス対処法
堀田秀吾著(日刊現代・講談社 900円)

堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

関連記事