高齢者の正しいクスリとの付き合い方

ステロイドに「怖いクスリ」というイメージがついてしまった理由

ステロイドには塗り薬や吸入薬など多くの種類がある

 かつて、ステロイドが今よりも気軽に処方されていた時代がありました。「乱用」といってもいいかもしれません。ステロイドは発熱があれば下げますし、食欲がなければ出します。痛みがあれば取りますし、元気がなければ出します。いわば“何にでも効く魔法のクスリ”のように思われていました。もちろん、すべてがそうであるということは絶対にありませんが、一部とはいえそうした考え方に基づいて使われていたケースがあったようです。

 前述の通り、ステロイドは本来、体の中にあるものです。しかし、クスリとして使う場合は体の中で作られる量をさらに上乗せする形になるため、副作用のリスクが高まります。ステロイドには効果と同じように副作用もたくさんあります。何にでも効くからいろいろな症状に使った結果、ステロイドのさまざまな副作用が出てしまい、これが怖いというイメージにつながったのかもしれません。ただ、これはあくまで過去の話です。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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