第一人者が教える 認知症のすべて

オリーブオイルが豊富な地中海食で脳の前頭葉機能が改善

さまざまなものをバランスよく(C)日刊ゲンダイ

 その理由として研究者は、米の摂取量が多いほどほかの食品の摂取量が減ってしまい、栄養バランスが崩れてしまうからではないか、と推察しています。実際この研究では、米を単品で見た場合、米の摂取量と認知症発症との間に明らかな関連は認められなかった、との結果が出ています。

 国立長寿医療研究センターの研究も紹介しましょう。1997年に開始された「NILS-LSA」という研究で、食事と認知機能の関連を横断的に検討しています。

 認知機能が保持される食事はいくつかあったのですが(表参照)、食品の中で認知機能との関連が特に強かったものが、穀類。穀類摂取量が多いほど認知機能が下がる可能性が示されたのです。

 この研究では米類の摂取量は認知機能と関連していませんでしたが、うどんやそうめんなど小麦ベースの穀物摂取量が多い人ほど認知機能低下のリスクが高くなっていました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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