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コロナワクチン接種後の肩の痛みは「SIRVA」の可能性あり

写真はイメージ
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 読者のみなさんは、「SIRVA」という障害をご存じでしょうか。「Shoulder Injury Related to Vaccine Administration」の略で、「ワクチン接種に関連した肩関節障害」のことを指します。

 SIRVAは、肩の筋肉にある滑液包へワクチンの薬液が間違って注入されたことが原因で起こると考えられています。

 ただ、滑液包へ本当に注射されたかどうかはわからず、注射の仕方に関係なく起こる可能性もあります。適切な治療で改善や完治することが多いですが、日本では医師、患者さん共に認知度が低く、症状が重くなってから来院される方が散見されます。

 2022年はコロナワクチンを複数回接種された方が激増し、SIRVAを疑う患者が日本全国に見られるようになりました。インフルエンザワクチン後でもSIRVAを疑う患者はおられます。しかし、コロナのワクチン接種が日本全国で行われるようになってから、SIRVAの患者が増えました。

 まずは、初診時の患者さんの典型的な様子を例として挙げます。
私「問診票では3カ月前から左肩が痛いとのことですが、きっかけはありますか?」
患者さん「強いて言えば半年前、コロナワクチンの3回目接種を受けました。注射をした左肩に痛みが走った程度で、1、2回目のときも同じでしたので、気にしていませんでした。しかし痛みはずっと続き、どんどん強くなってきたんです。今では夜も寝られません」

 ワクチン接種後の肩の痛みで受診された人の共通点を挙げます。

・コロナワクチンを打つまで肩の痛みが生じたことはなかった
・1回目、2回目で必ずしも生じるわけではない
・推奨通りの部位への注射
・注射後から疼痛(とうつう)が強い場合もあれば、注射してから1~数カ月経過してから肩の痛みが強くなる場合もある

 次回は、どういう場合にSIRVAを疑うべきか、またどんな治療を行うのかについてお話ししましょう。ぜひSIRVAの知識を身に付けて、ひどくなる前に整形外科を受診していただきたいと思います。

森大祐

森大祐

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

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