「慢性腎臓病(CKD)」は厳密には病名ではなく、その方の腎臓の状態を示す言葉、つまり総称となります。
「慢性腎臓病にはいろんな種類があるの?」と聞かれることがありますが、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性嚢胞腎などの言葉を耳にした方がそんな疑問を抱かれたのではないかと推測しています。
慢性腎臓病とは状態を示す名前で、それらの原因として慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性嚢胞腎などがある。例えば「あなたは慢性腎臓病です。その原因は糖尿病で、糖尿病性腎症と診断されます」と医師から説明を受けることを想像していただくとわかりやすいかもしれません。
原因はいろいろあるとしても、総称として「慢性腎臓病」という言葉を用いて診断されます。
さて、この慢性腎臓病ですが、一度診断されると、投薬などで腎臓の機能が元に戻るということはありません。ですから慢性腎臓病と診断されたなら、以降は腎機能を低下させないようにすることが重要となります。
この連載で何度もお伝えしてきた通り、血液検査のGFRの数値が59以下になるか、もしくはタンパク尿が出るという状態が3カ月以上続くと「慢性腎臓病です」と診断されることに。慢性腎臓病にはステージがあり、診断後は進行を食い止めるように、ステージが進まないように、日常生活の中でいくつか意識を変えていく必要があります。
意識を変えるべき、そのひとつは運動です。まず歩行を習慣化して体力をつけ、1日8000歩を目指すとしましょう。
もうひとつは食事ですね。腎臓病の食事療法の3本柱ともいえるのが、「塩分」「野菜・果物」「タンパク質」。これらの調整を行うことで、腎臓病における健康を維持することができます。
ただし、制限すればするほど良いわけではありません。一人一人の腎臓の状態によって、どの程度調整するかが異なってきます。また、我慢の連続では絶対に続きません。おいしく食事を食べることも大切だと思います。
たとえば、塩分を控える場合は塩の代わりにダシを利かせたり、香辛料を多用したり……。慢性腎臓病の患者さんから一番質問が多い「食事」について、また次週も引き続きお話ししたいと思います。
健康長寿のカギは腎臓にあり