高齢者の正しいクスリとの付き合い方

ステロイドは「免疫」や「炎症」に関連した疾患以外でも使われる

突然クスリをやめてしまうと症状がリバウンドしてしまう(写真はイメージ)

 また、炎症が過剰に起こってしまうような病気にもステロイドは有効です。その代表的な疾患が「アトピー性皮膚炎」と「気管支喘息」です。アトピー性皮膚炎は皮膚の防御機能が低下し、皮膚へのさまざまな刺激に対して免疫が過剰に反応することで、かゆみや湿疹などの症状が出現します。気管支喘息は呼吸をする際の空気の通り道である気管支に炎症が起こることで気管支が狭くなり、咳や息苦しさといった呼吸器の症状を起こす病気です。いずれも、過剰な炎症によって引き起こされる病気であるためステロイドが使われます。

 アトピー性皮膚炎では塗り薬、気管支喘息では吸入薬が用いられるイメージがあるかもしれません。基本的にはそうなのですが、重症の場合には内服薬や注射薬としてステロイドが用いられる場合もあります。

 主に免疫や炎症に関連した疾患以外にも、意外なところでは「突発性難聴」にも使われます。突発性難聴の原因は不明なのですが、過去に他の病気に対してステロイドによる治療を行ったところ、難聴も改善したという経験に基づいているといわれています。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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