感染症別 正しいクスリの使い方

【ギラン・バレー症候群】食中毒の原因菌によるものが30%を占める

手足の力が入りにくくなったり、しびれ感が…

 もっとも、カンピロバクターやサイトメガロウイルスに感染したからといって、多くの患者さんがギラン・バレー症候群を発症するわけではありません。ギラン・バレー症候群になる確率は、カンピロバクター感染1000回につき0.25~0.65例、サイトメガロウイルス感染1000回につき0.6~2.2例くらいといわれています。

 症状は1カ月以内にピークを迎え、その後は悪化することはなく徐々に改善しますが、10~20%に後遺症が残ります。治療として免疫グロブリンの大量点滴や血漿交換が行われます。また、呼吸困難に対する人工呼吸器装着や、嚥下困難(物がのみ込めない)に対する栄養管理(経管栄養)といった対症療法も行われます。

 近年、新型コロナ感染症の後遺症が話題になりましたが、ほかの感染症の後にも思わぬ事態が起こってしまう場合があるのです。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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