全カップルに届けたい「幸せセックス」 国内唯一の性交痛悩み解決サイト運営者に聞く

正しい知識と工夫で…(写真はイメージ)
正しい知識と工夫で…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 国内唯一の性交時の痛みに特化した悩み解決サイト「FuanFree(ふあんふりー)」の運営元「うるおいヘルスケア」が行ったアンケートでは、女性の約8割が性交痛を経験。解決策を探る男性は少なくないようで、2020年のサイトオープン以来、男性からのアクセスが一定して4割強。22~23年の年末年始には女性ユーザーを超え、男性6割になったという。「うるおいヘルスケア」代表の小林ひろみさん(メノポーズカウンセラー)に話を聞いた。

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「性交痛のメジャーな原因は、女性ホルモンの低下による潤い不足。つまり、更年期や授乳期に起こりやすいのですが、性に関する調査『ジャパン・セックスサーベイ』の過去から最新のものまで見ていくと、『(セックスが)いつも痛い、だいたい痛い、たまに痛い』の総計では、20~30代の若い世代が上位になっています」

 ジャパン・セックスサーベイは「日本家族計画協会家族計画研究センター」などが12、13、17、20年に実施したもの。

「若い女性の場合、性交痛の原因は潤い不足よりセックスの経験不足、妊娠や性感染症への不安などが考えられます。正しい知識と工夫で解決できる類いのものもあります」

 特に押さえておきたい点を、小林さんは次のように挙げる。

 まず、体位の工夫だ。

「当サイトでは悩みに応じてさまざまな専門家に解決策を伺っています。体位については、『奥が痛い』『挿入時に入り口が痛い』といった相談が多く、一方で正常位しか体験したことがない人がかなりいます。浅く挿入する方法だけでも複数あり、正常位にプラスアルファし、2人で痛くない体位を工夫して見つけていくことが必要です」

「うるおいヘルスケア」の調査では、「性交痛がなくてもセックスが終わった後にヒリヒリ痛む」という質問に76%が経験ありと回答。「ヒリヒリ痛む」に関連することとしては、男性の激しい前後運動やピストン運動が考えられるが……。

「挿入時間が長くなると乾いてきて、こすれて痛い、という場合は潤滑剤を途中で足す。浅く挿入した状態でペニスに数滴垂らし、膣の中に塗りのばすのです」

 なお、潤滑剤は「粘りが強すぎないもの」がベター。パッケージに「水溶性」とあればその可能性が高いが、成分表示から見極めるのは難しいかもしれないので、少量サイズを複数買って試してみるしかない。

■医師を含めた専門家に相談すべきケースも

 挿入するタイミングを間違えていることが原因の場合もある。

「人間の性反応は、興奮期↓高原期↓オルガズム期↓消退期の4つの段階に分かれています。ペニスの挿入段階は高原期。勃起している、濡れているという段階では高原期に達していないことも。高原期になるまで時間がかかる人もいますので、2人でタイミングを見計らってください」

 たとえ高原期であっても、勢いよく挿入、激しいピストン運動がNGのケースもあるので念頭に置いておきたい。

 コンドームを替えると性交痛が改善できる場合もある。

「厚さもいろいろ。『薄い=いい』という印象があるかもしれませんが、そうとは限らない。素材がポリウレタンだとゴワゴワして摩擦を感じるかもしれません。イソプレンラバーという軟らかくてわらび餅みたいにプニュプニュしている特殊素材もあります。ぺニスより大きいサイズのコンドームを使っているため摩擦が生じ、性交痛が起こっていることもあります。潤滑剤と同様、少量ずつ買うことをお勧めしています」

 ここに挙げた例は、だれもがすぐに試せる方法。性交痛の内容によっては、医師を含めた専門家に相談すべきケースもある。

「何より認識してほしいのは、万人に共通する解決策はないということ。たとえば激しいタッチに痛みを感じる女性もいれば、むしろ快感を覚える人もいるのです。女性に何が痛いかを確認し、2人にとって最も気持ちよく楽しめるセックスを見つけていくしかない」

 ひとりよがりのセックスは問題外だ。

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