健康長寿のカギは腎臓にあり

慢性腎臓病の食事療法 「野菜・果物は摂取控えめ」という考え方が変わってきた

野菜や果物は状況に応じて制限する方針に

 前回に続き、慢性腎臓病(CKD)の食事療法についてもう少しお話ししたいと思います。

 腎臓病の食事療法の3本柱は「塩分」「野菜・果物」「タンパク質」。中でも最も大切なのは塩分を減らすことで、「血圧を下げる」「薬がききやすくなる」「腎臓の障害を抑える」という効果が期待できます。

「塩分」摂取の目安は、1日6グラム以下。日本人の平均塩分摂取量の約半分と考えればいいでしょう。

 塩分摂取量の減少は、慢性腎臓病の患者さんがもっとも苦労されているところです。無理なく続けられるポイントとして、「ダシや香辛料を多用する」「料理の具材を増やす」といった具体的な方法を、患者さんに伝えています。

 次に「野菜・果物」の調整。腎機能が低下すると、腎臓からのカリウム(ミネラルの一種)の排泄が少なくなり、体にたまってしまう。「高カリウム血症」と呼ばれる状態です。野菜(いも類、かぼちゃ、白菜など)と果物(バナナやメロン、キウイなど)にはこのカリウムが多く含まれるため、腎臓病の患者さんには摂取を控えるよう指導されてきました。

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森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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