健康長寿に役立つ高齢薬膳

【レンコン】「水」を補い余分な熱を鎮めて乾燥トラブルを解消

レンコンと豚肉、豆腐の潤い炒め(提供写真)
レンコンと豚肉、豆腐の潤い炒め(提供写真)

 最近、なんだかほてりを感じてボーッとする……。ほてりとは、異常な熱感のことをいいます。多くは、血管を収縮させる自律神経のバランスが乱れることによって引き起こされます。血管が広がっている状態が続くと、体表に近い血管が熱を積極的に放出するため、ほてりやすくなるのです。自律神経の働きは加齢によって低下するので、シニアはほてりを感じやすくなる傾向があります。とりわけ、季節の変わり目は自律神経のバランスが乱れがち。春はほてりやすい季節といえるでしょう。

 また、体内の水分不足もほてりの原因になります。若い頃に比べると体内の水分量は大きく目減りして、脱水症を引き起こしやすくなります。自覚がなくても水分不足の状態が続いている場合、症状としてほてりがあらわれる場合があります。中医学において、ほてりは「陰虚」と呼ばれる「体内の『水』が足りていない」状態にあると考えます。水は血以外のあらゆる体液。陰陽でいうと「陰」に属し、体を潤わせて余分な熱を冷ます働きをしています。

 そのため水が不足すると体に潤いがなくなり、余計な熱が生じるため、のぼせやすくなるのです。そのほか、手足がほてる、やたらと喉が渇く、冷たい飲み物を飲みたがるといった特徴もあります。

 当然ながら、水が足りないので全身が乾燥します。肌が乾燥してカサついたり、喉が乾燥して咳が出やすい、目が乾燥してドライアイ……といった「乾燥トラブル」も見られがち。改善のためには体内に潤いを与える食材を取り入れることが大切です。

 おすすめはレンコン。体にたっぷりと水を補う優れた働きとともに、体内の余分な熱を鎮める作用があるのです。喉の乾燥による痛み、咳、声がかれるといった呼吸器系トラブルにも役立ちます。美容面でも、肌に潤いを与え、乾燥肌、シワ対策にうれしいパワーがあります。

 レンコンは、メンタルにおいても威力を発揮します。精神面をつかさどる臓器「心」の働きを高め、気分の落ち込み、不安感、うつ、不眠といった症状の改善に役立ちます。不眠にもおすすめです。

 レンコンのほてり改善効果を高めるには、同様に体に水分を補う、豆腐、豚肉、白ごまなどと組み合わせるとよいでしょう。

■レンコン高齢薬膳レシピ

レンコンと豚肉、豆腐の潤い炒め

 体内に水を補うレンコンと、豚肉、豆腐を組み合わせたレシピ。レンコンのサクサク、豆腐のふわふわの食感が新鮮なチャンプルー風炒めものです。青じそとかつお節の風味で食がすすむメニューです。

【材料】2人分

●レンコン(皮をむき棒状に切って酢水にさらす)100グラム
●豆腐(キッチンペーパーに包んでレンジで2分加熱)  2分の1丁
●豚細切れ肉  100グラム
●しそ(細切り) 5枚
●おかか 5グラム
●A(しょうゆ、みりん各大さじ1)
●サラダ油、塩、こしょう 適宜

【作り方】
 フライパンに油を熱し、豚肉、レンコンを炒め、火が通ったら塩、こしょうをふる。続いて豆腐を入れて崩しながら炒め、おかか、A、しそを入れて全体を混ぜる。

新著「秒速 『ゆる薬膳。』」(青春出版社)が好評発売中。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

関連記事