1回のPCR検査陽性で全員隔離は正しかったのか…京大医生物学研究所准教授に聞く②

国は最後まで感度の高いPCR検査にこだわり続けてきたが…(C)日刊ゲンダイ

「どちらもウイルスのNタンパク質を直接あるいは間接的に検出することでウイルスの存在を証明しようとしているのですが、問題はそれが感染性のある生きたウイルスの存在証明には必ずしもならないことです。抗原検査は、他の病原体などに反応してしまうことがあり、PCRはコンタミネーションによる偽陽性がつきものです。また相当数のウイルス粒子がないと感染性を有しません。感染によって粘膜面で抗体が出来ていれば、ウイルス粒子は抗体に包まれて感染性を失います。にもかかわらず、1回のPCR検査で陽性となれば全員隔離して社会を混乱に陥れた。ウイルス研究者はこうしたウイルス検査の危険性を知っています。現場の声を知ってか知らずか、当時、上に立って指示する人たちがその認識がなかったことは残念でたまりません」

 宮沢氏によれば、感染拡大を抑える目的であれば、検査は抗原検査で十分だったと言う。ところが、国は最後まで感度の高いPCR検査にこだわり続けてきたかのように見えると言う。

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