ステロイドの影響で血糖値が高くなると、体はそれを下げようとしてインスリンを分泌します。じつはインスリンの作用は血糖値を下げるだけではありません。体の脂肪を増やす作用もあります。脂肪は顔や腹部に多く存在しているため、ステロイドを長期間、そして多量に用いているとそういった部分の脂肪が増え、肥満や満月様顔貌という副作用が起こります。これらの副作用は直接生命の危機に陥るものではありませんが、外見上の変化を伴います。対策としては、ステロイドの減量・中止が挙げられますが、それができない場合には食事を工夫するなどしてカロリーをコントロールしなければなりません。
ステロイドは体のさまざまな部分に作用します。骨も例外ではなく、骨形成(骨を作ること)を低下させ、骨吸収(骨が分解されること)を増加させ、その結果、副作用として「骨粗しょう症」が起こることがあります。特に閉経後の高齢女性でリスクが高いのですが、ステロイドの使用が長期間になると男性でも起こることがあります。そのため、必要に応じて骨粗しょう症のクスリが併用されます。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方