医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

糖尿病は生活習慣病から遺伝子病へ 診療と治療は今後どう変わるのか

ウエアラブル計測機器が切り札に(写真はイメージ)

 遺伝子を使った診断や治療など医療技術の進化、AIやロボットの導入、医療DXによる診療の効率化など、医療を取り巻く環境は劇的に変化することが予想されている。そんななか日本人を苦しめてきた5大疾病(糖尿病、急性心筋梗塞、脳卒中、がん、精神疾患)の診断と治療はどう変わるのか? 「未来の医療年表」(講談社現代新書)の著者で医療未来学者である奥真也医師に聞いた。1回目は糖尿病だ。

 糖尿病とは血糖値が慢性的に高くなる病気で、この状態が長く続くと全身の血管に障害が起こり、失明、腎不全、足の切断、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症を引き起こす。膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンの分泌量が不足して発症する1型と生活習慣が関係する2型があり、現在、1000万人ほどが罹患していると推定されている。

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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