医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

糖尿病は生活習慣病から遺伝子病へ 診療と治療は今後どう変わるのか

ウエアラブル計測機器が切り札に(写真はイメージ)

 さらには計測機器による糖尿病の予防も今後、劇的に変化すると奥氏は言う。

「糖尿病の人はいきなり糖尿病になるわけではありません。多くの場合、糖尿病になりやすい遺伝子を持った人が糖尿病のスイッチ(エピジェネティクス)を押す不摂生な生活を続けた結果、発症します。その間、血糖値の悪化を知れば、不摂生を改める努力をするでしょう。従来は血糖値は病院に行かなければ計測できませんでしたが、今後は手軽に長期間計測できるようになり、糖尿病予備群の多くは健康を取り戻せるようになるでしょう。その切り札になるのがウエアラブル計測機器です」

 すでに2週間連続計測できるパッチ式の血糖測定器が市場に出ている。皮膚の下まで刺した極細の針が体液から血糖値を数分ごとに自動計測する仕組みだ。ほかにも、端末内蔵の発光ダイオードやレーザーで、手首や指の皮膚に光を当て、反射したり散乱した光の強さや反応を計測することで血糖値を測る腕時計型や指輪型の血糖測定器も使われ始めている。

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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