医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

心筋梗塞の診断と治療はどう変わる? 再生治療で心臓は半永久的に動き続ける

写真はイメージ

 心臓の機能障害は高齢化が進む日本社会で最も多い疾患のひとつ。それを引き起こす原因のひとつが「心筋梗塞」だ。死亡率の高い急性心筋梗塞は急激に血管内がプラークや血栓などで詰まり、心臓自体を栄養する太い血管(冠動脈)の血流がなくなって栄養や酸素不足から心筋が壊死する病気のこと。心筋梗塞は日本人の死因の2位にランクされている。今後、診断と治療はどうなるのか? 「未来の医療年表」(講談社現代新書)の著者で医療未来学者である奥真也医師に聞いた。

「現在、心筋梗塞の治療には主に3つの方法の研究開発が行われています。①死んだ心筋を再生させる心筋再生治療②詰まった血管を補修する血管再建治療③心筋梗塞を起こした心臓にできたあとの心臓の線維化を抑制するための線維化抑制治療です。現在、それぞれに新たな技術が開発されており、それが完成すれば半永久的に動く心臓が可能になり、急性心筋梗塞を含めた心臓の機能障害による死亡も減少すると期待されています」

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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