医療だけでは幸せになれない

コロナとマスク着用 「判断する」と「考え続ける」は相反する部分がある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 国は3月13日以降、「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる」という判断を発表した。「自粛」と同じ流れである。ただその半面、<着用が効果的な場面>として、以下の状況ではマスク着用を推奨するという内容である。今回も引き続きこのマスク着用に関する問題を考えてみたい。

●医療機関を受診する時

●高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設などへ訪問する時

●通勤ラッシュ時など、混雑した電車やバス(*)に乗車する時(当面の取扱)

(*)概ね全員の着席が可能であるもの(新幹線、通勤ライナー、高速バス、貸切バス等)を除く

●新型コロナウイルス感染症の流行期に重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く時

 この決定に基づき、個人個人がどのように行動するか、ここ数カ月の変化に注目したい。ただ今日の話題は、この判断そのものについてではない。この判断が適切なものであったかどうか、今の時点ではわからないし、この先もわからないままかもしれない。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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