老親・家族 在宅での看取り方

余命数週間…ファミレスで餃子を食べてビールを飲んで

希望を捨てずに最後まで寄り添う

 患者さんが病院から退院し在宅医療に切り替える前、病院側と私たちとの間で、患者さんの状態や情報を共有するための会議を催します。これを私たちは「カンファレンス」と呼んでいます。

 この会議の目的は、スムーズな引き継ぎに加え、問題点や注意点を各担当者が報告し合い、協議しながら、より良い支援方法を検討するためでもあります。

 最近は、新型コロナの影響もあり、ネット通信を使ったZoomでカンファレンスを行うことが少なくありませんでした。当初はZoomによる対話では、患者さん側の要望を受け止めきれるのかと一抹の不安もあったのですが、実際に使ってみるとそれらは杞憂。むしろ患者さんにとっての利便性の拡大をより図れ、これからの在宅医療の可能性を広げるツールになるのではと考えています。

 最近もZoomを使い、患者さん側と病院、私たち3者で話し合いをした末、在宅医療を開始された患者さんがいます。急性骨髄性白血病を患う69歳の男性で、長男、長女との3人暮らしです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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