医者も知らない医学の新常識

若年性脳卒中は発症から1年以内でがんリスクが増加する

若年性脳卒中を発症したら念のためがんの検査も

 脳卒中というのは、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって起こる脳の病気の代表で、血管が詰まる脳梗塞と、血管が破れる脳出血とに分かれます。

 通常、脳卒中は脳の動脈硬化に伴って起こることが多く、そのため50歳以上で発症するのですが、最近はもっと若い年齢で発症する脳卒中が増加していて、それを「若年性脳卒中」と呼んでいます。みなさんも若い芸能人の方が脳卒中になったというような報道を見聞きして、「まだ若いのに」と驚かれたことがあると思います。

 若年性脳卒中の原因には、生まれつき心臓に開いている穴や、何らかの原因で血管が裂ける解離などがありますが、それがなぜ最近増えているのかは不明です。そして、それと同時に注目されているのが、若年性脳卒中とがんとの関連です。

 今年の米国医師会関連の医学誌に掲載された論文によると、15歳から49歳で脳卒中になった2万7000人以上の患者を解析したところ、脳梗塞の場合2.6倍、脳出血の場合5.4倍も、1年以内にがんと診断されるリスクが増加していたのです。50歳以上で発症した脳卒中では、そこまでのリスクの増加は見られませんでした。

 がんになると血液がドロドロになり、それが脳卒中につながった可能性が指摘されていますが、正確な原因は不明です。

 若年性脳卒中では、がんの可能性も疑って検査をした方が良さそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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