第一人者が教える 認知症のすべて

軽度認知障害の時期に対策を講じれば、健康な状態に戻れる

写真はイメージ(C)iStock

 認知症で最も多くを占めるアルツハイマー型認知症。治す薬が現段階では登場していないことから「早期診断に意味がない」と思う方がいるかもしれません。

 しかしアルツハイマー型認知症は、症状の進行が非常にゆっくり。早期に見つけ、対策を講じることで、自活した生活を長く送ることができます。

 もっといいのは、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)やMCIよりも前の無症状の段階で、「脳を活性化させる生活」を送ること。

 MCIの時期に何もせずに過ごすと、1年で10%、4年で40%が認知症に移行するという報告もあります。一方で、MCIの時に対策を講じれば、健康な状態に戻れるという報告もあります。

 誤解してほしくない点なので、強調して伝えておきたいのですが、認知症になったからといって、「人生終わり」ではありません。これは、ぜひ念頭においていただきたい。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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