“コロナ明け”だからこそ注意したい健康トラブル<1>【ゴルフ肘】自宅やラウンド中にできるストレッチ法

胸のストレッチ(C)日刊ゲンダイ

「レジャー白書2022」によると、2022年の日本におけるゴルフ人口は約560万人。コロナ禍の20年は約520万人と大幅に減っていたが、再び増えつつある。コロナが一段落したことで久しぶりにラウンドしたり、新たに始めてみようという人も多いだろう。しかし、初心者やブランクがある人は、肘の内側が激しく痛む「ゴルフ肘」を発症する危険がある。自宅やラウンド中にできるストレッチ法を「六本木整形外科内科クリニック」の前田真吾院長に聞いた。

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 ゴルフ肘は、医学的に「上腕骨内側上顆炎」と呼ばれ、手を握ったり、物を持ち上げる際に肘の内側が痛むのが特徴だ。そのほかにも、肘の内側を押すと痛みが出たり、熱感などの症状もある。

「40~60代の中高年に多いです。ゴルフを始めたばかりの人や久しぶりに再開した人、体に柔軟性がなく『手打ち』になっている人が発症しやすいといえます。また、普段から背中が丸まった姿勢で長時間座っているデスクワーカーも体が硬くなりやすいので、ゴルフをする際は注意が必要です」

 中高年になると、若い頃に比べて筋肉の柔軟性が低下して体は硬くなりやすい。体が硬いと、スイングの際に上半身をうまくひねることができず、手の力だけで打とうとするため手打ちになる。そのままのスイングを続けていると、手の筋肉に過剰な負担がかかり発症するという。週3回以上ゴルフをしている人は、とりわけ注意が必要だ。

「体が硬い人は肩が丸まった状態でスイングしようとしますが、右打ちの人の場合、これではテイクバックする際に右肩が邪魔になって上半身を後方にうまく回せません。体を回転させるためには、胸を張り肩甲骨を寄せることが大事です」

 手打ちにならないためにも、まずは硬くなった体を柔らかくしなければならない。手だけではなく胸や背中のストレッチが大切だという。自宅やラウンド中にできる具体的なストレッチ法は次の通りだ。

肩甲骨の運動(C)日刊ゲンダイ

■前腕のストレッチ

 手のひらを上に向けた状態で腕をまっすぐ前に伸ばし、もう一方の手で指先を掴み、自分の体側へ反らす。30秒×3セット。

■胸のストレッチ

 片方の腕を横方向に肩の高さまで上げる。手のひらを前に向けて上方向に肘を90度曲げ、腕の前方を壁の端(壁の柱部分)につける。つけた腕とは反対側の足を前に出し、グーッと体重を前方にかけ大胸筋を伸ばす。30秒×3セット。(写真A)

■肩甲骨の運動①

 あおむけで横になり、両手を頭の下で組んで膝は曲げる。背中(肩甲骨)の下に丸めたバスタオル、または筋膜ローラーを入れ、背中をグーッと反らす。20回。(写真B)

■肩甲骨の運動②

 手のひらを前に向けた状態で両手をばんざいする。そこから、手のひらは前を向いたまま肘を90度曲げた状態で肩の高さまで両腕を下ろし、胸を張って肩甲骨を寄せる。このとき、手のひらが前に出ないように注意。20回。

「六本木整形外科内科クリニック」院長の前田真吾氏(C)日刊ゲンダイ

「立ったままできるストレッチは、1ホール終わるごとに行うのがベストです。難しければ9ホール回って午後プレーを再開する前に実践するといいでしょう。とにかく、こまめに行うことが大事です。また、自宅でストレッチする際には、筋肉の緊張が緩んで体の柔軟性が高まるお風呂上がりがおすすめです」

 これらのストレッチは体を柔らかくするほか、すでにゴルフ肘を発症している人にも痛みを軽減させる効果があるという。

 ただし、痛みがあるにもかかわらず我慢してゴルフを続けると、筋肉が繰り返し引っぱられて最悪、筋肉と骨をつなぐ腱が切れ、指や手首を曲げにくくなる。すると、ゴルフだけでなくクルマの運転やつり革を掴む動作もできなくなり、日常生活に支障を来す危険性がある。何より発症させないことが重要だ。

 楽しくラウンドするためにも今日からストレッチを取り入れ、予防に努めよう。

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