老親・家族 在宅での看取り方

病院では難しかった細かいケアも自宅でなら思うようにできる

在宅医療は自宅での日常もサポート

「現在入院中ですが、GWまではもたないと病院で言われています」

 3月の中旬、ケアマネジャーさんから在宅医療の相談を受けました。

「訪問診療が決まれば退院して自宅に帰れるということで訪問診療を探しています。あけぼのさんにお願いしたいと思っています。患者さんは4月10日の退院を目指しており、その日に初回訪問希望です。ほかに詳しい情報が手元になくて……。患者さん、ご家族と相談し、正式な依頼は再度ご連絡いたします」

 その患者さんは前立腺がんの末期。奥さまと2人暮らしで、近所に娘さんが住んでいます。入院前から認知機能も低下しており、場所や時間を誤認するなど、覚醒レベルに異常が生じるせん妄の症状もみられていました。

 そんなこともあって、在宅医療を開始したタイミングでは、患者さんは余命についてハッキリと知らされていませんでした。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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