ニューヨークからお届けします。

州民が州民を自由に訴えて「賞金」まで…テキサスで中絶訴訟が泥沼化

ワシントンで開かれた中絶権利集会で講演するカマラ・ハリス米副大統領(C)ロイター

 中絶が事実上違法のテキサス州で、経口薬で中絶した元妻と別れた夫、友人の女性2人を巻き込んだ訴訟合戦が泥沼化しています。

 昨年6月、最高裁が女性の中絶の権利は憲法では保障されず、各州の法律に委ねられると判断して以降、アメリカの約半数の州で中絶が事実上禁止されるか、禁止の方向に動いています。

 テキサス州では妊娠早期6週間以降の中絶が違法ですが、多くの女性はこの時期までに妊娠に気づかないことから、事実上の禁止と考えられています。

 注目すべきなのは、テキサス州では違法な中絶を当局が取り締まるのではなく、州民の手に委ねていることです。つまり誰でも中絶に関わった州民を訴えることができ、もし勝訴したら最低でも1万ドル(135万円)の「賞金」を受け取ることができます。また訴える対象は中絶した本人ではなく、それを助けた医者や本人を運んだ車の運転手などだということが、際立った特徴です。

1 / 2 ページ

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

関連記事