なんだか最近、孫と話をしていると顔をそむけられる。もしかして、口の臭い……? 口臭はシニアに多い悩みのひとつ。加齢によって口臭の原因は増加します。虫歯や歯周病の悪化は口臭の大きな原因になりますし、入れ歯やブリッジがあると歯垢がたまりやすく、時間の経過によって臭いを発してしまいます。
また、胃腸機能の衰えも口臭を引き起こす原因に。胃腸の働きの低下により食べたものが胃腸に停滞しやすく、異常に発酵することによって臭いを放つのです。
命に関わる状態ではありませんが、人と話すときに気になるのはつらいもの。食養生で体の中からもデオドラント対策を図りましょう。
中医学では、消化機能をつかさどる「脾」と呼ばれる臓器と、胃の機能が弱いと口臭が引き起こされると考えます。中医学では「脾胃不和」と呼ばれる状態です。
脾と胃は互いに協力して消化吸収を行います。脾は取り入れた栄養を体全体に運ぶ働きがあり、胃でできた栄養物を体の上部に運んでいます。一方、胃は消化して不要になった残り物を腸へと下部に運びます。ところが、脾と胃が弱るとその働きが逆転して不要なものが上へと上り、口臭の原因になるのです。
普段から胃の調子が悪く、胃もたれ、胃がつかえた感じがするといった症状もみられます。また、「下に下ろす」という本来の胃の機能が働かなくなっているため、げっぷや吐き気といった「上向きの症状」があるのも特徴です。
そもそも、胃が弱ったままでは体内に栄養をしっかり取り込めずに、人間のエネルギー源である「気」を生み出せないことから、疲労をはじめさまざまな不調につながります。胃の働きを強める食材を取り入れて、根本からのマウスケアと全身のパワーアップに努めましょう。
おすすめはキャベツ。胃のパワーをアップするとともに、胃痛や胃もたれに高い効果があります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍にもよく、胃のトラブルには欠かせない野菜です。脾を強める働きもあり、虚弱体質や疲れやすい人にも役立ちます。付け合わせのキャベツは「胃薬」だと思って、しっかり食べましょう。
キャベツの口臭改善効果を高めるには、同じく脾や胃の働きを強めるナガイモ、キノコ類、豆類、カボチャ、胃の調子を整えて消化を促進する大根と組み合わせるのがおすすめです。
■キャベツ高齢薬膳レシピ
キャベツとろろサラダ
脾と胃の働きを強めるキャベツとナガイモ、胃のコンディションを整える作用が高い大根をかいわれ大根を使って組み合わせたレシピ。市販の千切りキャベツを使えば、アッという間に完成します。黄身とろろの効果でキャベツがぼそぼそせずに、おいしくたっぷりいただけます。
【材料】2人分
●千切りキャベツ(市販) 150グラム
●ナガイモ 10センチ
●かいわれ大根 2分の1パック
●温泉たまご 2個
●めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1
●わさび 適量
【作り方】
器に千切りキャベツ、かいわれ大根を盛り、皮をむいてすりおろしたナガイモ、温泉たまごをのせる。めんつゆをかけ、わさびを加えて全体を混ぜて食べる。
新著「秒速 『ゆる薬膳。』」(青春出版社)が好評発売中。
健康長寿に役立つ高齢薬膳