役に立つオモシロ医学論文

インフルエンザと新型コロナでは死亡リスクはどちらが高い?

新型コロナワクチンの接種回数が多いほど死亡リスクが減少(C)ロイター

 その結果、入院から30日以内の死亡率は、新型コロナウイルス感染症で5.97%、インフルエンザ感染症で3.75%と、新型コロナウイルス感染症で1.61倍、統計学的にも有意に高いことが示されました。なお、死亡リスクは新型コロナウイルスワクチンの接種回数が多いほど減少しました。

 死亡のリスクは、インフルエンザと比べて新型コロナウイルスで高いという結果ですが、論文著者らは「新型コロナウイルス感染症で入院した場合の死亡率は20年において17~21%であった一方、本解析では約6%まで低下している」と考察しています。また、死亡原因の詳細は調査されておらず、論文著者らは「新型コロナウイルス感染症で入院した人では、もともと死亡リスクが高かった可能性」に言及しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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