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心の問題の解決には体が必要…米国で「ソマティック・セラピー」が注目されるワケ

写真はイメージ(C)iStock
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 ソマティック・セラピーが注目されています。簡単にいうと、言葉のカウンセリングだけでは解決しない心の問題を、体と一緒に解決しようという療法です。

 ソマティックは直訳すると、体の、身体性の、という意味です。

 アメリカではサイコセラピーや心理カウンセリングがとても盛んで、2000年から2001年にかけて、4000万人もの人が、何らかのカウンセリングを受けたという数字もあります。

 それだけメンタルが厳しいと感じている人が多い訳ですが、言葉だけのセラピーでは限界があるという考え方も強まっています。

 例えばストレスで胃が痛くなったり、緊張すると肩が凝ったりするわけで、そもそも体と心はつながっているのだから、両方を総合的に癒やす必要があるという考え方です。

 PTSDの治療で知られるエリザベス・フェドレック博士によれば、心理的なトラウマは細胞レベルで蓄積されるということで、心だけ治療するのは無理があるという考え方を裏付けています。

 では実際にどんな療法なんでしょうか。アメリカの心理学専門誌「サイコロジー・トゥデイ」では、手法は多岐にわたり、セラピストにより異なると前置きしつつ、基本的にはマインドフルネスと言葉によるセラピーの組み合わせと説明しています。

 トラウマとなった経験の記憶が蘇る時に、身体がどんな動きをするのかを知る。その上で深い呼吸、リラックス、メディテーションなどのテクニックで症状を和らげる。ダンス、ヨガ、声を出すエクササイズ、マッサージを併用することもあります。

 このように心と体のつながりを意識し、具体的な介入を行うことで、過去の否定的な経験から患者の心に残っている緊張、怒り、フラストレーションなどの感情を解放するのが、ソマティック・セラピーの目的です。

 フォーブスやNYタイムスなどの一般のニュースメディアでも、ソマティック・セラピーが取り上げられて、今後もっとメジャーになりそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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