第一人者が教える 認知症のすべて

今日も「健脳カフェ」は賑やか 学生も入り交じり会話が弾む

(C)日刊ゲンダイ

 また、家族または友人と週1回交流すること、週1回コミュニティーグループに参加することは、交流やグループへの参加がない場合と比べて記憶力の低下が遅く、孤独を感じずにいることは全般的認知機能の低下や実行機能の低下が遅いと予測。

 男女別の分析では、女性では「配偶者がいる/パートナーがいる」人は、そうでない人より記憶力の低下が遅く、男性にはそうした傾向は見られなかった。

 この研究での最終的な結論はこう。「配偶者・パートナーがいる」「同居人がいる」「週1回コミュニティーグループに参加する」「週1回家族や友人と交流する」「孤独を感じない」といった社会的なつながりが良好な人は、認知機能の低下が緩やかになる可能性がある──。

 軽度認知障害(MCI)や認知症でない人などを対象にした、認知症予防目的の「健脳カフェ」は、まさに社会的なつながりをつくる場。みんなでしゃべって、体を動かして、麻雀やカラオケに興じて……。楽しい時間が認知症予防につながるのです。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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