患者は70歳で、20年前に直腸がんの手術を行い、左下腹部にストーマが設置されていました。そのストーマから出血があり、背中の痛みもあって、ある病院に入院され、輸血を受けました。ストーマの部分に腫瘤ができていて、そこからの出血でした。腫瘤は直腸がんの再発ではなく、新たにできた肺がんからの転移だったそうです。肺がんは背骨にも転移していました。痛みは放射線治療とモルヒネの内服で治まり、さらに抗がん剤治療を1クール行って退院しました。
■自宅療養だからこそ笑顔もあった
1カ月後、2クール目のために入院しましたが、担当医から「体力がなく、2クール目は無理でしょう」と言われて自宅療養を勧められ、ケアマネジャーと相談の末、自宅に帰りました。
奥さんはどうなるものかと心配しましたが、本人が「帰りたい」というので、本人の意思が一番大切と思い退院を選択したそうです。緩和ケア病院にも申し込みましたが、いつ空くか分からない状況でした。
がんと向き合い生きていく