老親・家族 在宅での看取り方

測定不能なほどの高血圧…でも、お金がないから病院にかかれない

写真はイメージ

 血圧は触診で200を超え、もはや測定も困難な状態でした。目を閉じてもすぐに開いてしまい、ご自身で脚を上げることもかないません。

「頭の脳の部分に何かが起きているという可能性が極めて高いですね」(私)

「ずっと血圧は高くて。突然何かが起きたんだと思います」(夫)

「普通の高血圧の数値をかなり超えています。命に関わることです。病院で画像の検査などしないといけないです。病院へは行けますか?」(私)

「それがダメなんだよ。お金もないし俺も体が不自由だし」(夫)

 別室で地域包括支援センターの方に話をお聞きすると、実は旦那さんは無年金で、患者さんの年金だけで2人は生活されており、以前かかった病院の支払いを分割で、最近やっと払い終わったばかりとのことでした。

「ご本人も病院に行かないっておっしゃっていて」(包括)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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