コロナ禍を経て懸念される「免疫力の低下」 この夏は「体内マスク」で乗り切る!

 猛威を振るってきた新型コロナウイルスも5月8日から感染症法上の位置づけが2類から5類に移行した一方で、第9波の到来も予測されており、再発にももちろん注意が必要だ。そんな中、新たに懸念されていることがあるという。それは……。

■帯状疱疹や梅毒、インフルエンザが増加傾向

 実は最近、「帯状疱疹」にかかる人が増えている。

 帯状疱疹は50歳以上の中高年層が多く発症し、ピリピリ・ズキズキする痛みが起きた後、水ぶくれを伴う発疹ができるのが特徴だ。もともとほとんどの人が子どもの頃に罹る水疱瘡に関係しており、治った後に体内にすみ続けているウイルスが再活性化すると帯状疱疹となる。

 いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長によると、

「帯状疱疹が増えているのは明らかに体の免疫力が低下しているからです。帯状疱疹のウイルスが活性化するタイミングは今までなら50歳以降でしたが、もっと若い世代でも少し疲労がたまっただけでも出てきてしまうのです。この他、季節外れのインフルエンザや梅毒が増えているのも免疫力の低下と関連があると考えられますし、そうなると第9波やインフルエンザの流行にも大きな影響を与えそうで、心配になってきますね」

 人間の体には細菌やウイルスなどの病原菌が侵入してきた際、それらを排除する「免疫」という機能が生まれながらに備わっている。つまり、免疫があるおかげで私たちの健康が守られているというわけだ。

 ところが、コロナ禍の影響で免疫に関して見逃せない変化が出ているという。その点を伊藤院長は、

「コロナ禍での大きな生活の変化に加え、昨今の寒暖差といった環境要因によって、人々の免疫のバランスが崩れてしまっている可能性があります。そのため、本来ならそんなに簡単にやられなかったようなウイルスなどの病原体に感染したり重症化しやすくなっているのです」

 という。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長
今「体内マスク」の存在に注目が

 コロナの感染を防ぐうえで欠かすことのできなかったマスクの着用が個人の判断に委ねられるようになった今、伊藤院長は「新たなマスク」の存在に注目している。それが「体内マスク」だ。

「私たちの体に備わっている免疫の機能、これこそが体内マスクなのです。口にするマスクは人と接触する密度の高いところで飛沫を避けるために有効ですが、それと同じように体の中で病原体の侵入から守ってくれるのが体内マスクです。体内マスクがしっかりしているということは最前線の防御機能が保たれているということで、そうなると、日常的に触れるような弱い菌や少量のウイルスには負けない強さを維持することができます。その意味でこれからは体内マスクの重要性が高まっていくのではないでしょうか」(伊藤院長)

■体内マスクの強化に欠かせない「腸管免疫」

 さまざまな病気から体を守ってくれるのが体内マスクなら、誰もが考えるのがその機能を高めるにはどうしたらいいかということだろう。

 伊藤院長によると、その決め手となるのが、免疫機能の多くが備わっている、「腸」の状態だという。体に悪さをするウイルスや細菌は、口や鼻、腸の粘膜から侵入してくる。中でも腸は、栄養を吸収するために、外から入ってきたものを見境なく吸収する機能があり、つねに外敵の脅威にさらされている。だからこそ、脅威から体を守る免疫機能の多くが配備されているのだ。そのため、腸の状態がよいことで免疫のバランスが整う=体内マスクが増強されるのだそうだ。

「腸の状態をよくするためには、善玉菌を増やす必要があります。善玉菌そのものである乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品、善玉菌を増やす働きをする大豆を中心とした豆類、ワカメ、昆布、ごぼうなどを積極的に摂るようにするといいでしょう」(伊藤院長)

 コロナ禍を経て免疫力の低下が否めず、しかもこれから先にはコロナの第9波も予測されている今、内と外からのマスクをしっかり意識することを忘れないようにしたいものだ。

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