活躍していた当時は、試合ではダウンしなかったんです。でもあるときからよく倒れるようになった。年齢でいえば26~27歳ごろです。絶対に勝てると思っていた相手にノックアウト負けしたとき、正直「うそやろ?」と思いました。こんなこと言ったら失礼ですけど、このレベルに負けるのはやばいなと思ったのが、眼科を受診したきっかけです。「倒される」ということは「相手との距離が見えていない」ということですから。
知り合いに紹介してもらった眼科で診てもらったら、「こんな目で試合してたの? この目じゃ反応できないよ。手術しなきゃ無理」と言われました。「白内障」の中でも重症の部類と診断され、ここ1~2年ではなく、だいぶ前から始まっていたもののようでした。白内障は目の中の水晶体が白く濁ることで視機能が低下する病気で、物がぼやけたり、光がまぶしく感じる症状があります。
振り返れば、練習のときからなんとなく違和感がありました。でも、気持ちの問題だと思っていたんです。当時、プライベートでもいろいろあって忙しかったし、年齢的なこともあるかな、とかね。気づかないくらい少しずつ進行するので、試合で倒されることが多くなるまでわかりませんでした。
独白 愉快な“病人”たち
「眼科医に驚かれた」格闘家の才賀紀左衛門さん若年性白内障を振り返る
才賀紀左衛門さん(格闘家/34歳)=若年性白内障