高齢者の多剤併用が問題なのは、薬剤費の増大もさることながら、薬剤相互作用、飲み忘れや飲み間違いなどから、薬物有害事象のリスクが増えることだ。
「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では、「1種類でも服用回数や1回の服用錠数が多ければ影響は大」とし、「6種類以上で薬物有害事象のリスクは特に増加」「5種類以上で転倒の発生率が高かった」と記載されている。
多剤併用の問題点に気づいたきっかけを語るのは、東京・大田区を中心に在宅療養支援を行う「たかせクリニック」の高瀬義昌理事長。
「パーキンソン病では、進行に伴い咀嚼能力が落ち、薬を飲めなくなってくる。その中には、かえって意識がはっきりし、調子が良くなる方がいるのです。次第に薬の量に問題があるのではないかと考え始めました」
調べるにつれ、次のような背景が見えてきた。