上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

救急搬送された患者への処置は大きく3つのパターンがある

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 そのうえで呼吸の状態や心電図の状態を見て、病状を見極めます。仮に広範な心筋梗塞であれば、輸液をたくさん行うと心不全になってしまいますから、臨機応変な対応が求められます。そこから、簡便な検査、精密検査に持って行って診断を確定させ、カテーテルなのか、手術なのか、薬物なのかを判断し、最適な治療を行うのです。

■持病を把握しておけば助かる可能性を上げられる

 救急の現場では、①か②だったケースの対応は、このようにほぼパターン化されているといえます。その点でいうと、③バイタル=血圧が保たれている状態のほうが複雑です。

 たとえば、採血検査をしてみたら低血糖でショック状態を起こしていたとか、腎臓の機能が低下して人工透析になる直前の状態で、尿毒症のような状況になっていたといったケースがあります。そうした状態でも心不全を起こすのです。ほかにも、膠原病などさまざまな病気が見つかったり、飢餓状態でも心不全を招くケースがあります。こういった場合、まずは心臓の処置をして状態を落ち着かせ、その後で本疾患の治療をしてもらう流れになります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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