正解のリハビリ、最善の介護

脳出血が重症で半身が完全麻痺でも本当に回復できるのか?

ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 そんなタイミングで、Aさんのご両親が「まだ若いので、何とか装具を使ってでも歩けるようにならないか。少しでもしゃべれるようにならないか。少しでも文字が読めるようになれば本人の楽しみができるので、リハビリ治療をしたい」と、当院まで相談に来られたのです。

 Aさんは重症ではありますが、年齢が若いこと、すでに口から食べられるようになったこと、右半身は完全麻痺で重度の感覚障害も認めるが、左上下肢に麻痺はないこと、リハビリの意欲があること、そして脳画像で左側被殻を中心に大脳は重度脳損傷を認めたものの右側の大脳は健常であることから、「装具を装着しての杖歩行と、セルフケアの日常生活動作は自分でできるようになり、精神機能や高次脳機能も徐々に軽快してくる」と予測できました。また、言葉の機能も年単位で長期的に回復することが見込めます。

 そこで、手術から33日目に当院の回復期病棟に転院となりました。高血圧症が未治療だったため、収縮期血圧120㎜Hg以下に血圧を管理して再発予防を徹底しながら、6カ月間の回復期リハ治療を計画しました。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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