正解のリハビリ、最善の介護

脳出血が重症で半身が完全麻痺でも本当に回復できるのか?

ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

■6カ月で自宅退院が可能に

 ADL(日常生活動作)をどのように向上させていくか、歩行機能をどう獲得させていくか、上肢機能、精神機能と高次脳機能をどこまで向上できるか、言語機能をどのくらいの期間で向上させていくか。さらに、復職を実現するために何が重要で、どのような計画で復職してもらうのか。それらについて、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、看護師、ソーシャルワーカーと相談し、計画を立てました。

 また、退院後は当院の外来リハビリテーションでの通院治療を継続して長期的に機能・能力を向上させていくことと、メンタルサポートを継続して下支えした上で、復職支援事務所と連携して頑張りを見守る方針にしました。

 こうした計画に沿ってリハビリ治療を実施した結果、Aさんは入院後6カ月で自宅退院となりました。入院時、少しボーッとしていた意識状態は、意識清明まで改善。運動機能面では、右片麻痺は入院時の重度の弛緩性麻痺から、退院時には上肢と下肢に少し随意運動が出てわずかに動くようになりました。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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