正解のリハビリ、最善の介護

脳出血が重症で半身が完全麻痺でも本当に回復できるのか?

ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 握力も0/23キロから9/30キロまで向上。ただ、手指の利用は難しく、補助手として紙を押さえることができる程度でした。上肢機能訓練は一生にわたって大切で、それを行わないと生活活動を阻害する上肢になってしまいます。このリハビリ治療については別の機会に詳しくお話しします。

 下肢は麻痺が残りましたが、短下肢装具を装着した杖歩行により6分間で265メートルも歩けるようになり、信号も渡れるレベルに向上しました。歩行獲得には、金属支柱付き長下肢装具療法での歩行訓練が必須で、このリハビリ治療も別の機会に説明します。

 重度の感覚障害は残り、表在感覚(触覚、温冷覚、痛覚など)、深部感覚(運動覚、位置覚、振動覚など)ともに脱失していました。しかし、“できるADL”を表すBIは25点から95点まで改善。“しているADL”を表すFIMも38点から111点に向上し、自宅退院が可能になったのです。体重は75キロと6カ月で15キロの減量に成功し、血圧も安定しました。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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