クスリ社会を正しく暮らす

災害時の医療支援は必ずしも美談ばかりではない

強い使命感が時に悪い方向に作用するケースも…(震災後の輪島市内の様子)/(C)日刊ゲンダイ

 今年2月、災害医療チームの一員として能登半島地震の被災地に入りました。災害において支援に入った方を悪く言う報道はほとんど見かけませんが、必ずしも美談ばかりではありません。私自身、災害医療に関する知識は十分ではないため、「あの時、このようにすればもっとよかったのではないか」などと考えることがあります。

 支援に入る医療者の中には強い使命感を持っている方も多くいます。東日本大震災の支援に入った時の私がまさにそうでした。アドレナリンがドバドバ出ていたのでしょう、24時間不眠不休でも活動できそうに感じていました。しかし、活動は16時終了で派遣場所から引き揚げというスケジュールが組まれ、「もっと活動していたい、役に立ちたい」と感じていました。

 そこで、宿泊場所に帰ってからもできることを探し、現場のマニュアルを作るなど夜間まで活動していました。当時はまだ若かったので撤収するまで体力がもったのですが、帰ってからドッと疲れが出てしまいました。本来、業務に大きな支障が出てはいけないのに、ひどく疲れてしまっていたのです。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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