正解のリハビリ、最善の介護

失語症からの回復を目指す医師はどんなリハビリに取り組んだのか

ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 脳梗塞による失語症の障害が残ってしまった50代の男性医師Cさんが取り組んだリハビリと、本人が感じたことについて、さらに詳しくお話しします。

 発症から3日目、SCU(脳卒中集中治療室)での生活も3日目となり、やっとリハビリ治療がスタートしました。まずは言語療法です。

 Cさんは聞くことによる単語の意味の理解のテストは満点でしたが、読むことは簡単ではなく、単語を読むことができるだけの状態でした。「犬」は理解できるのですが、「いぬ」と「イヌ」というひらがなとカタカナでは理解できませんでした。このことから、漢字はイメージとして理解しているようだと感じました。

 発症から4日目、SCUから一般病棟へ転室となりました。理学療法も始まり、麻痺がないためバイク漕ぎなどを行いました。言語療法では「計算」に挑みましたが、1の次が2なのかがわかりません。このため、「1+2=3」が理解できませんでした。掛け算の九九はできるのですが、計算の繰り上がり、繰り下がりができません。これらから、言葉が話せないだけでなく、高次脳機能障害もあることに気づきました。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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