正解のリハビリ、最善の介護

脳梗塞で失語症となった医師が2カ月で復職できた要因はなんだったのか

ねりま健育会病院院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 脳梗塞で失語症が残った50代の男性医師、Cさんのお話の続きです。治療後のCさんは、言語療法や理学療法などのリハビリと自主訓練を続け、発症から13日目にリハビリ病院へ転院しました。しかし、転院先の病院で新型コロナ感染症を発症してしまい、脳梗塞の発症から16日目に感染症専門病院に転院することになりました。

 Cさんは、リハビリ病院内でコロナ感染したことは残念に思いましたが、一生懸命支えてくれる医療従事者のことを考えると怒る気にはなれませんでした。どこででも、誰にでも起こる感染だからです。幸い、新型コロナ感染症は重症にならなかったので、個室で自主リハビリ訓練を行いました。

 理学療法は座ったままこぐフィットネスバイクを30分。室内歩行は1万7000~2万5000歩を歩きながら徹底的に「考える」ことに挑みました。復職した時の診察場面を想定して、個々の担当患者が受診したらどういう方針で治療するのか、リハビリセンターに戻ったら作業療法をどう取り組み、改善結果を良くするためにどうしたらいいかなどを考え続けたのです。言語療法はプリント問題を解いたり、100マス計算を行いました。そして、10日間の隔離を経て、リハビリ病院に戻りました。

1 / 4 ページ

酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

関連記事