毎年2万人超が発症、2000人死亡 日本は「結核中進国」

 結果、結核がすたれない。さらに、結核に詳しい呼吸器内科医が激減していることも問題だ。

「〈ワシントン条約の保護職種にしてほしい〉とよく冗談で言うのですが、結核が専門の医師は多くありません。結核患者を30年近くも診ている私ですら、胸のレントゲンだけでは診断に迷うケースが多く、喀痰(かくたん)検査が必要です。専門外の医師では、症状から結核に考えが及ばないことが珍しくありません」

■「ただの風邪」そして放置されるケースも

 営業職のAさん(33)は咳が続くので近所のクリニックを受診したところ、風邪という診断。数日薬を飲んでも症状は改善されず、別の病院を受診。やはり風邪という診断だった。

 熱と下痢が続き、体がだるいので大学病院を受診。結核と診断され、すぐに入院となった。幸い、家族、同僚、上司、友人らに感染者はいなかったが、「だれか分からない人にうつしている可能性はある」とAさんは言う。

3 / 4 ページ

関連記事