痔にあらず…お尻から“大量出血”は「大腸憩室」が原因

■食物繊維の摂取で予防

 大腸憩室の従来の治療は、内視鏡で1センチほどのクリップを入れて、出血した憩室の入り口を挟む方法。ところが、これでは上行結腸など出血量が多い憩室に関しては、5人に1人はうまく止血をできない。日本人はもともと上行結腸の憩室が多いので、適切とは言いがたい。

「そこで私たちが目をつけたのは、出血した憩室の根元をゴムで巻く方法です。外に飛び出ている憩室を、内視鏡を使って大腸側からヒュッと吸い込み、その根元にバチンとゴムをつけます」

 もともとはアメリカで2003年に開発された技術。ところが、アメリカでは出血が少ない左側の憩室が圧倒的に多く、普及しなかった。それが日本では大いに役立ったのだ。

「この治療のメリットは、強力なバンドの締める力で、縛られた憩室が壊死(えし)して取れてなくなることです。クリップを使った方法では、憩室にフタをするだけなので、そこまでいきません」

 デメリットは、憩室を数個バンドで締めようと思ったら、その都度、大腸内視鏡を出し入れしなくてはならないことだ。

 ちなみに、大腸憩室は、食物繊維をたくさん摂取することで、ある程度予防できる。食生活の見直しが大前提にあることは間違いない。

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