「ハーバード大学で開発された方法を、当院が日本で初めて臨床応用に成功して30年ほどになります。2009年1月に重症熱傷に対して保険適用になってからより広がり、今では国内100カ所以上で行われています」
■跡目立たず、拒絶反応なし
自家培養表皮移植はまず、熱傷していないところから、切手ほどの大きさの皮膚を取る。取った皮膚は自家培養表皮を行う会社に送られ、そこで表皮の細胞を分離・培養。切手大だった皮膚が、3週間後には1000倍の大きさになるので、それを熱傷部分に移植する。
「移植するのに取る皮膚が切手大と小さいので、痕が目立ちません。移植する本人の細胞から作られた皮膚ですから、拒絶反応がないのも大きい」
しかし、デメリットもある。培養した表皮は感染に非常に弱く、「培養したけど使えなかった」ということがある。真皮のない部分では、移植してもくっつきにくい。薄くもろいので、背中のように圧がかかる場所や関節のようによく動く場所には適していない。